「ホワイトラビット」読了 ひさびさに伊坂幸太郎作品を読む

ここ数年、伊坂幸太郎作品から遠ざかっていた、すなわち小説を読んでいなかった私なのですが、伊坂さんの新作も溜まってきているし、そろそろ読もうかなぁなんて思っていて、手に取ったのが「ホワイトラビット」でした。

事前にAmazonでの評価が高かったのは知っていましたが、あらすじなどは全く知らず、図書館で借りてきました。

忘れかけていた懐かしい登場人物が出演

すっかり忘れかけていたのですが、黒澤という名前の人物が出てきて、しかも泥棒ということでどんな作品に出ていた人物だったっけなぁ~となっていたのですが、領収書の紙のくだりのところあたりでようやく思い出しました。

他にも今村とか大西とかも出てましたが、それもどの作品で登場したっけなぁ~と曖昧に……
若葉ちゃんにいたっては、どんなキャラだったかということすら忘れていました。
覚えていたのは映画版「ポテチ」で木村文乃さんが演じていたということくらい。

黒澤は好きなキャラだったのですが、大活躍している今作を見るとこんな性格だったっけ?となったりもしましたが……
黒澤が登場する「ラッシュライフ」は、私が伊坂作品のなかで最も好きな作品と言っていたのに、数年も読まないでいると記憶が薄れていくものですね……

伊坂作品らしいけどちょっとした工夫も

立てこもり籠城事件が設定となっていましたが、お話は伊坂作品らしく、楽しく読み進めることができます。
時系列のズラし方とか主観の目線が頻繁に入れ替わったりして、途中わからなくなる部分もあったりしましたが、案の定今回も気持ちよくダマされました。「えぇ!?こうなるの~」って感じ。

最近の伊坂作品はただ伊坂作品らしさがあるだけでなく、変化も加えられてあったりしますが、今作でもレ・ミゼラブルの話が用いられていたり、作者が話に加わっていたりといった工夫も見られます。

個人的には結末として、もっとしっかりとした勧善懲悪を求めていた部分もあったのですが、ちょっとした肩透かしをくらうのも最近の伊坂作品らしいとも言えます。
兎田がヒーローになって活躍するシーンを思い描いていたのですが、最後はあっさりとフェードバックしていくのにも、また裏切られた感じです。

ひさしぶりに作品を読んでみて「やっぱり面白いなぁ」という印象だったのですが、それでも初期のころの作品と比べてしまうと、物足りなさは感じるところがあるかもしれません。

ですけど、面白さは安定級ですし、過去の登場人物とかが出てくるのが同窓会的な感じで楽しみでもあったりするので、これからもいろんな作品を読み進めていこうかと思います。